ステンレスとは
ステンレス鋼は、鉄に一定量以上のクロムを含有した合金鋼のことです。ステンレスの由来である「stainless」という英語には、「錆が(stain)ない(less)」という意味があります。なぜ錆びないという名前なのかというと、ステンレスには表面に不動態被膜といううすい皮膜ができるという特徴があるからです。この皮膜が傷ついてもすぐに新しい皮膜が再生されるため、ステンレスは錆の発生を防ぐ耐食性に優れた金属として知られています。そのため、ステンレスは清潔感のあるメンテナンスフリーな材質として、キッチンやトイレなどなどの水回りから、建築材、自動車部品など、私たちの日常における様々なところに用いられています。
またステンレスは、その安定した表面から生まれる外観の美しさから、意匠性においても優れた特性を持っています。
高まるステンレス表面仕上げのニーズ
耐食性や意匠性に優れたステンレスは、表面の仕上げ方法によって様々な用途に使い分けることができます。一般的には、表面が滑らかになるほど錆びにくくなる傾向があるため、錆びやすい水回りの環境では光沢のある滑らかな表面仕上げがされたステンレスが用いられます。一方、ヘアライン仕上げのようにあえて光沢やつやをなくすことで高級感を演出する場合もあります。
このように、ニーズが多様化している現在は、多岐にわたるステンレス鋼の表面処理の需要が高まっております。
ステンレス表面仕上げの種類
ステンレスの表面処理の方法は、研磨・化学処理・熱処理・エンボス加工・エッチング加工・メッキ処理・塗装など様々です。SUS304・SUS430などのステンレス鋼の鋼種と表面処理を組み合わせることで、多種多様なステンレス鋼の種類が日々開発されています。
以下に、ステンレス表面仕上げの種類として挙げられるものを列挙します。
名称 |
表面仕上げ後の状態 |
特徴 |
用途 |
No.1 |
表面光沢がない銀白色。 |
熱間圧延後、焼鈍→酸洗で処理をする仕上げ。 |
構造部材やリロール母材 |
No.2D |
銀白色の光沢を有したにぶい灰色の仕上げ面。 |
冷間圧延後、熱処理、酸洗などの処理を行った後、適切な光沢を得る程度につや消しロールで軽く圧延して仕上げる表面仕上げ方法。 つや消し仕上げになるので、強い光沢を好まない用途に適している。 |
一般用材、建材、航空機の構造部分・屋根の排水樋・熱交換器・化学、石油プラントで使われるプラント材 |
No.2B |
やや光沢のある、比較的滑らかな仕上げ面。 |
No.2D材に適当な光沢をあたえる程度に軽い冷間圧延をしたもの。 |
ステンレス(SUS)製品の市販品の大部分 |
BA |
圧延後の表面を引き継ぎつつ、光沢のある表面。鏡面に近い光沢を持った仕上げなので、ピカピカの光沢が要求されるときに使う。 |
冷間圧延後、光輝焼鈍(無酸化焼鈍)を行ったもの、あるいは光沢を高めるためスキンパス圧延をする。 |
装飾品等、自動車部品、家電製品、厨房用品 |
ダル |
梨地状の光沢の無い状態。梨地仕上げ、またはつや消し仕上げともいう。 |
つや消しロールで圧延、あるいはショットブラストをすることで表面に細かい凹凸をつけて処理をする。 |
デジタルカメラ、電子機器、建材 |
エッチング |
化学的な処理によって模様がつけられた仕上げ面。 |
化学薬品による腐食作用を利用して金属を溶解させる加工方法。 ドライエッチングという特殊な工法も存在し、垂直にイオンをぶつけることで、金属表面を蒸発させることでパターンをつける工法もある。 |
デザイン用途、あるいは金属プレス加工では困難な加工品 |
ヘアーライン(HL) |
研磨によりつけた長い筋目。光沢なし。 |
光沢をなくし、つや消しを行なうことで落ち着いた雰囲気、高級感を演出できる。 |
意匠の要求される建築建材 |
No.4 |
光沢ありの、細かい目でできた研磨仕上げ面。 |
研磨をしたステンレスの中では一般的。幅広く用いられる。 |
厨房用品、建材 |